先日チェリーのテレビボードをH様へ納品させて頂きました。
最初今年の六月に、チェリーの一枚板でテレビボードを作りたいと、お問い合わせを下さいました。
都内や、千葉県内の家具店さんやインターネットショップさんをご夫婦で回られたそうですが、なかなかお客様のご希望を受けて下さる店舗が無かった様で、当社ホームページを見て下さりお問い合わせ頂きました。
以前市場で競り落とし、約8年程じっくり自然乾燥された良いチェリーの一枚板がストックされていたので、一度見にご来店頂きました。お客様の中で既に作りたいデザインが決まっていらっしゃったのでデザインをお伺いし、荒らし上げをしてまた次回ご来店時に細かい寸法のお打ち合わせをする事になりました。
チェリーは乾燥する時にあばれる樹種だと聞いていたので、平にするにはある程度薄くなる事を覚悟していました。実際大きく割れ反りも大きく出たのですが、今回はテレビ台用に半分に割ってみた所、縦の反りは殆ど無くて厚みを落さずに素材感を持ったまま加工をする事が出来ました。
『当社でのオーダー家具の進め方』
感覚的なボリューム感等を確認する為に、打ち合わせ時に床にテープを貼り、お客様とお部屋のバランスを実際の大きさを見て確認したり、新聞紙やダンボール等で実際ご自宅で大きさを確認して頂いたりと、お客様と私達と大きさに対する感覚を共有していきます。
その後、角を丸く整えるか、斜め45度にカットしてスッキリさせるのかという細かいディティールが 印象もお部屋の雰囲気もだいぶ変わります。塗装による見た目や、質感の変化も大事なポイントです。
このチェリーのテレビ台は、全体の角は触っても痛く無い程度にペーパーで研磨し、三角の脚はシャープな感じを壊さない様に面取りはしないままで仕上げました。当初汚れに強いウレタン塗装か自然な風合いを楽しむ為にオイル塗装をお考えでした。サンプルで確認して頂き手で触った時に感じられるチェリーの質感も、汚れに対する機能も考慮して、ガラス塗料で仕上げる事になりました。
今回気に入って下さったチェリーの杢目の縦と横を同時に見せたいと言う事で、縦と横に剥ぎ合わせた後カットしてこの様なデザインの脚になりました。見る方向を上下に向きを変える事で色々な表情が出る脚になりました。
最初のご来店から、四ヶ月かかりましたが納品させて頂きました。白を基調とした明るいお部屋に、アメリカンチェリーの鮮やかな色が綺麗におさまりました。
打ち合わせを重ねたのでテレビ台がジャストフィットしていて気持ちいいですね。
ご主人にデザインして頂いた三角脚が、アクセントを加えてくれています
最後の写真は、奥様がこんなテレビ台になるのかなとダンボールで手作りされたミニチュアです。
納品時にお部屋に置いてあり、その再現度にびっくりしました。